無機系注入剤
●無機系注入剤とは
 主剤および反応剤の中に無機化合物のみを含んだ注入剤をいう。反応剤には、無機塩、炭酸塩、及び重炭酸塩等がある。
 
 主剤に水ガラス、反応剤に重炭酸ナトリウムを用いた場合のゲル化を反応式で示すと次のようになる。
 Na2O・nSiO2 + 2NaHCO3 → 2Na2CO3 + nSiO2 + H2
           (重炭酸ナトリウム)
 固結強度や反応率は有機系注入剤ほど大きくないが、注入の際にpH測定だけでよい利点がある。

引用書籍 「正しい薬液注入工法 本質のわかる本」(2002年初版) (社)日本グラウト協会



有機系注入剤

●有機系注入剤とは
 主剤は水ガラスであるが、反応剤の中に炭素の酸化物や金属の炭酸塩など、少数の簡単なもの以外のすべての炭素化合物を含む注入剤をいう。具体的には有機酸、エステル類、またはジアルデヒド類を含んだものがある。
 
 反応剤にエチレンカーボネイトを用いた場合のゲル化を反応式で示すと次のようになる。
          アルカリ
 (CH2O)2CO  →  (CH2OH)2 + H2CO3
 (エチレンカーボネイト) H2
 
 Na2O・nSiO2 + H2CO3 → Na2CO3 + nSiO2 + H2
              (炭酸)
 エチレンカーボネイトはアルカリの存在下で加水分解を起こし、生成された炭酸が水ガラスと反応して珪酸ゲルを生成する。この加水分解反応には時間を要するため全体のゲル化反応はゆっくり行われる。またゲル化後も反応は進行し反応率が高くなるため無機系に比べて大きな固結強度を得ることができる。
 注入に当たってはpH測定とマンガン酸カリウム消費量測定が必要とされる。

引用書籍 「正しい薬液注入工法 本質のわかる本」(2002年初版) (社)日本グラウト協会



pH

●pH値とは
 水溶液の酸性、アルカリ性の度合いを表す指標。一般に「水素イオン濃度」といわれることもあるが、正確には、水素イオン濃度の逆数の常用対数を示す値。pH試験紙やpH計などで簡易に測定できる。pHが7のときに中性、7を超えるとアルカリ性、7未満では酸性を示す。
河川水は通常pH6.5〜8.5を示すが、河口での海水の混入や、石灰岩地帯や田畑など流域の地質、生活排水、工場排水などの人為汚染、夏期における植物プランクトンの光合成等の要因により酸性にもアルカリ性にもシフトする。河川におけるpHの環境基準は類型別に定められており、「6.5(あるいは6.0)〜8.5」を地域の状況によりあてはめる(類型あてはめ)。ただし、pH値は厳密には温度によって変化するので、測定時の水温も付記する必要がある。
 一方、雨水中の溶存物質等により、雨水が強い酸性を示すことがあり、pH5.6以下の雨を酸性雨と定義づけている。pH5.6以上の意味は、大気中に存在する炭酸ガスが雨水に溶け込み平衡状態になったときの値が5.6のため。ただし、人間活動がない場合でも火山からの二酸化硫黄(SO2)の放出や、海洋からのジメチルサルファイドの放出による硫酸イオンの生成など、自然活動によっても雨水が酸性化し、特に海洋近傍ではpH5.0前後がバックグラウンド値となる。

EICネット(pH)より引用



過マンガン酸カリウム消費量

過マンガン酸カリウム消費量(化学的酸素要求量)とは
 水中の有機物を酸化剤で分解する際に消費される酸化剤の量を酸素量に換算したもので、水質の有機物による汚濁状況を測る指標となる。
 測定方法は世界的には重クロム酸ナトリウムで酸化する方法が一般的だが、日本では日本工業規格K0102(工場排水試験方法)に準拠して、硫酸酸性で過マンガン酸カリウムにより沸騰水浴中(100℃)で30分間反応させたときの消費量を測定し、試料中の有機物の汚濁度を算出する。なお、二価鉄や亜硝酸塩などの存在によって測定値が高くなる場合がある。

 環境基準では、河川にはCOD値は設定されず、湖沼および海域で類型によりあてはめることとなっている。また、水質汚濁防止法(1970)に基づき排出水の規制のための基準値が定められている。
 似たような指標に、BODがあり、環境基準でも河川についてはBOD(生物化学的酸素要求量)が設定されている(湖沼・海域ではCOD)。河川は流下時間が短く、その短い時間内に河川水中の溶存酸素を消費する生物によって酸化されやすい有機物を問題にすればよいのに対して、湖沼や海域は滞留時間が長く、有機物の全量を問題にする必要があること、また湖沼には光合成により有機物を生産し、溶存酸素の消費・生成を同時に行なう藻類が大量に繁殖していることから、BODの測定値が不明瞭になることなどによるとされる。

EICネット(COD)より引用


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